[小話]甘いしらゆき

「っ、あ、しらゆき……胸、に挟んで」

「えっ……、こ、う?」

ダンテに抱きしめられたまま、しらゆきの口元に触手が押し付けられている。先ほどまでチロチロとしらゆきが先端のつるりとした部分を舐めていて、それだけでは物足りなくて、口の中に含んでもらっていた。かぽ……と小さな口で懸命に太いものを咥える姿は健気で、それだけで射精しそうになるのを堪えるのは大変な苦行だ。

苦行ではあったが、ダンテはその苦行にさらに別の苦行を重ねてしまった。

しらゆきのほんわりとした胸に挟んで欲しいとリクエストしたのだ。

しらゆきは恥ずかしそうにしながらもそれに応じて、胸に挟んで、きゅ……と抱きしめた。そんなしらゆきを、ダンテが、きゅ……と抱きしめている。

通常の男女の交わりでは考えられない構図に胸が熱くなる。

男の欲望そのものの形をした触手を胸に挟んで、時々ぺろりと先端を舐めているしらゆきを自分の腕の中に閉じ込めて、上からじっくりと眺めた。ここで触手を上下に動かせば、かなりの快感を得られるのだろうが、それをすれば1、2回で限界が来そうだ。

かなり視覚にクる。

鼻から血を出すかもしれない。

しかし、ここで鼻から血を出すわけにもいかないので、冷静で落ち着いた風を装いながらダンテはしらゆきの頭を撫でた。

「上手だね、しらゆき……すごく気持ちが……あっ」

褒めた瞬間、しらゆきが胸に挟んで口に咥えたままダンテを見て、照れたように瞳だけで笑った。それを見てもはや条件反射のごとく自身の欲望がさらに熱を持ち、しらゆきの口の中の温かさを意識してしまう。

今のは危なかった。

どこであんな表情を覚えたのか。

ダンテは自分だけこんなではかなり不味いと、細い触手を2本、しらゆきの下半身へと伸ばす。しらゆきの足は閉じられているが、開かせなくとも触手がそこに入り込むのは容易だ。

何度か裂け目を掬うと、くちりと中に挿れた。

「んぅ……」

しらゆきの身体がびくんと動き、眼を瞑った。口には咥えたまま、んむんむと唇を動かして、下半身の感触に耐えているようだ。

「ん、っんん」

「あ、だめだ、しらゆき……」

またしても墓穴を掘った。

しらゆきの膣内(なか)を動く度に、しらゆきも唇をもぐもぐと動かす。しらゆきは愉悦に耐えているだけで意図してやっているわけではないのだろうが、口の中には唾液もたっぷりと絡まっていて、断続的に締め付けられる動きは、しらゆきの中に入っているかのようだ。

「……し、らゆきっ」

ダンテはちゅるんと触手を引いて、一気に口の中と胸から離した。すぐさましらゆきの膣内を蠢いていた2本と交代する。

「あっ……ダンテっ」

軽く開かせただけの足と足の間に、ほぼ真っ直ぐに最も太い熱が突き刺さる。ダンテはしらゆきの身体を抱きしめたまま、いつもの複雑な動きではなく、直線的な抽動を繰り返した。

すぐに限界がやってくる。

「は、あ、しらゆき……も」

こぽっと一度白濁が吐かれて、そのぬめりでぐちゃぐちゃと中をかき混ぜた。中に入っている雄の触手は萎えぬまま、未だ硬くて凶悪な太さを保っている。はふ、と息をついているしらゆきの中を探っていると、再びきゅんと締め付けられた。

「あ……んあっ!」

もう終わりかと思ってくったりとダンテに身体を預けていたしらゆきが、突然びくびくと身体を跳ねさせた。

ダンテが膣内(なか)の襞の一部分を擦ったのだ。急に引き締まった内奥の様子と、しらゆきの溶ける様な視線に、ダンテの胸が悦びに騒ぐ。

「見つけた」

「……ん……え?」

ダンテ自身も先ほど快楽を弾かせたばかりだ。額にうっすらと汗を浮かべながら、しらゆきの前髪をやさしく払う。

「しらゆきの好いところ」

ここだね……と言いながら、ダンテはしらゆきが反応を見せた箇所を触手で幾度も抉った。その途端、しらゆきがこれまでにないほど愛らしい声で啼く。

一度出して少しの余裕が出てきたダンテは、しらゆきが狂いそうになるほどその場所を責めた。していることは同じにしか思えないのに、今までとは全く異なる深い快楽に、しらゆきは頭が混乱する。

「あっ……んっ……これ、ダンテ、へんに、な……っ」

「変じゃない。こわくないよ、しらゆき、おいで、ほら」

さわさわと6本の触手がしらゆきの身体を這い始める。

胸を吸うもの、腫れ上がった頂きを摘まむもの、つながりあうすぐ側で、花芽をねたねたとしゃぶるもの、太ももに擦り寄るもの……。

しかしダンテの2本の腕だけは、しらゆきをしっかりと抱きしめて、しらゆきとつながる触手を激しく動かし始めた。

もっとも大きな感覚が、互いの身体を走る。

しらゆきの甘い声を聞きながら2度目を吐き出し、ダンテはしらゆきの頬をぺろりと舐めた。

「すごい、たくさん頑張ったね、しらゆき」

「たくさん……?」

「そ、数えきれないくらい」

しらゆきの身体から引き抜くと、2人の液が混じって太ももを濡らす。しゅるりとしらゆきの身体を巻き取って、眠そうな彼女を包み込んだ。

「なんてかわいいんだろ、しらゆき」

****

目に毒過ぎる。

あれほど出したのに、まだ足りないのか、僕のバカ!

そう思うのだが、やってみたいと思う衝動は抑えきれない。

目の前には、しどけない姿で横たわるしらゆきがいる。赤ん坊が丸まって眠っているような格好で、すやすやと幸せそうな寝息をたてていた。

それを見ながら、うっかり思い付いてしまったのだ。

胸に挟んだらあれほど心地よかったのだ。
太ももに挟んだら、どれほど心地よいだろう。

「少しだけ、なら」

ダンテは後ろからしらゆきの身体を抱き寄せて、背中から前に回すように太ももの間に触手を通した。しかし通してみた途端、脳が沸いた。

これは不味い。

剥き出しになっている秘裂に添わせながら動かすと、先ほどまでの情事の名残でぬるついたものがまとわりつく。それでいながら、太ももの柔らかい重みが膣内(なか)とは全く異なった感触だ。

さらにそのまま上へ上へと動かして胸の間に挟まり、すうすうと唇を尖らせて眠っているしらゆきの口元にくちゅんと先端をくっつける。

大きめのストロークで、ぐちゅぐちゅと動かすと、まるでしらゆきの身体全部で、触手を愛でてもらっているようだ。

ぐっ……と強めにしらゆきの肌に触手を押し付けていると、挟まっているしらゆきの足の間からじんわりと蜜がこぼれはじめる。

「んん……」

もぞもぞとしらゆきの瞼が震え、目覚めが近いことを知らせているが、ダンテはさらに動きを早めた。

「くっ、うっ!」

どくりとしらゆきの胸の上に白濁が吐かれて、同時にしらゆきの目が覚める。

「ダンテ?」

「し、し、しらゆき!」

「?」

しらゆきが、寝ぼけ眼で胸に手を当てると、そこにはペタペタした粘液が飛び散っている。

「ペタペタす……」

「しらゆき、お風呂! お風呂入ろう!」

「……?」

まだ覚醒しきっていないしらゆきに安堵して、ダンテは慌てて股と胸に挟んでいた触手を引き抜いた。その刺激に無意識に「んやん……」と甘えた声を出すしらゆきに欲情しそうになりながら、ダンテはサイドテーブルに用意していた拭き布で、こしこしとしらゆきの胸を拭いてやる。

飲み水と拭き布をすぐそばに常備しておいてよかったと、ダンテは見当違いのことを考えるのだった。


新妻が可愛すぎてつらい。(21歳男 調査会社勤務)