あなたは50分以内に5RTされたら、それぞれが悪魔と天使の設定でキスから関係が始まるアシュマとウィーネの、漫画または小説を書きます。
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六界における属性のうち、いわゆる四属性と言われる火・水・土・風、についてはつながりはあるが両極という関係性は無い。しかし光と闇については別である。他の四種が全く異なる四種であるのに比べ、光と闇は両極でありながら属性は一種である。力の方向性が異なるだけで、全く同じ属性なのだ。
「いずれの力が強いか……という議論については、解を得ない、というのが正式な回答である。いずれもゼロでありいずれもゼロ以外であるからだ……、うーん」
ウィーネは自室の書きもの机で、『光と闇の属性についての可能性と真偽』という題目のレポートを1つ書き終えたところである。傍らには闇の魔上位種を想像して描いた画集と、光の霊上位種を想像して描いた画集の2冊も置かれていた。ウィーネ自身の魔力は闇の属性一色で、これは非常に珍しいとされている。魔力の属性が一色ということ自体が珍しいが、その一色が闇である……というのはさらに珍しい。
カットソーに短パンというラフな格好で、ひとまず完成したレポートを前に伸びをする。それから、光の霊上位種空想画集を引き寄せて、なんとなくパラパラと捲ってみた。そこには人間が思い描いた光の界に住まう魔や精霊の姿が想像して描かれている。闇の魔が黒を基調とした異形として描かれているものが多いのに反して、光の霊は白や金・銀を基調とした美しい生き物として描かれているものが多かった。
別段、闇の魔力しか持っていないから……というわけではないのだが、ウィーネは髪も黒だし、瞳の色も黒だ。しかし美しい金髪を羨ましいと思わぬこともない。白い洋服も着てみたいとは思うが、実際に着るのは何となく敬遠しがちだ。たとえば真っ白なワンピースなどを着たら、黒くて重い髪が目立ってしまうような気がする。
パラ……と画集をめくると、白金色の髪の女性が白い肌に白いドレスを着ている絵があった。背中からは白い羽根が生えていて、舞う羽根が薄靄のように幻想的だ。そして、その白い女性は美しかった。
いわゆる「天使」と呼ばれている、光の界の上位の魔は、ウィーネの界では幻想的な美しさを持つことを表現する比喩として使われる事が多々あった。つまり「天使のように美しい」とか「その笑顔、まるで天使みたい」とか、そういう煽り文句である。一方、ウィーネが持つ闇の魔力が現す魔は、その一部は「悪魔」などと呼ばれていて、「悪魔のように凶悪」とか「その恐ろしさ、まるで悪魔」……などのように、性悪な比喩に使われる事が多かった。闇の魔力を卑下しているわけではないが、少し面白くないのも事実だ。
要するに「天使みたいな可愛いワンピース」のような服装に憧れたりするわけである。
「くだらぬものを見ているなウィーネ」
「うわ!」
後ろから、まるで耳元に口付けするかのような距離感で熱い呼気を感じた。同時に中低音の囁き声が吹き込まれる。ゾクゾクと背中に無意味な緊張が走って、ウィーネは肩をびくつかせた。
振り向くとアシュマが隣の椅子を引いて座っているところだ。
「何を見ている」
「ひかりの、界の霊の絵よ」
「そんなものを見てどうする」
「別に。レポート書いてて、ついでに綺麗な絵があるなって思って」
「ほう……綺麗?」
隣に座ったアシュマが、ウィーネの開いていたページを指でなぞった。そこには光の某とやらが描かれていたが、実際のところ、人間の目に映る姿などどうとでも出来るのだから、美醜などにこだわるなどくだらぬことだ。
ウィーネに魔力を向けてみれば、僅かに羨望の香りがする。
アシュマは首を傾げた。
「羨ましいのか?」
「は? 何がよ」
「何が、までは我には分からぬ。何が羨ましい?」
「別に……綺麗な髪の色だなとか、白いワンピース似合うな、とか思っただけで、羨ましいとまでは……」
「なるほどな」
むっとした表情でそっぽを向いたウィーネの黒い髪を指で掬い、唇を触れさせる。香りと滑らかさを堪能した後、アシュマはいつものように鼻でせせら笑った。
「お前には似合わぬ」
「え?」
「このような髪の色、お前には似合わぬ」
言われてウィーネは髪を掬っていたアシュマの手を払い退けた。アシュマの物言いはいつものことだし、似合わないことは分かっている。今更傷ついたりはしないけれど、でもやっぱり面白く無い。
「分かってるわよ。いちいちそんなこと言わなくてもいいじゃない」
アシュマの方は向かずに立ち上がると、傍らに置いてあった『光と闇の関係性とその深淵』という分厚い本を手に取って、寝台にぼふっ、と座り込んだ。膝の上に本を広げようとすると、開いたページが暗く陰る。
見上げると、アシュマがいつの間にか本性を露わにして、ウィーネを見下ろしていた。
「……」
「な、何よ……」
じ、……と見つめているアシュマから気まずげに視線を逸らし、ウィーネが再び本を広げようとすると、軽々と取り上げられた。そうして、
「わ! ちょっと、何っ……」
上に来ているゆるめのシャツまで、すぽっ……!と取り上げられた。
「ちょっとなにするのやめ」
慌てて取り上げられたシャツを奪い返そうと立ち上がると、さらにすぽっ……! と白いキャミソールを被せられた。色は白。今日の下着も白で、うっすらと透けた生地の下に、それが見える。胸元には縁取りにふわふわとしたレースが寄せられていて、裾は細やかな刺繍で彩られていた。透けた生地に白い刺繍がまるで彫刻のように見事だ。羽のかぎ爪で肩を抑えられ、腕を通されて、ひょいと腕に抱えられる。
「わあああ、何するのよ!!」
「これも邪魔だな」
するんと短パンを脱がされて、あっという間に白い上下の下着に透けた白いキャミソール……という格好に剥かれると、ぽい、と寝台に落とされた。
逃げられぬように、黒い蝙蝠羽に手首を押さえつけられる。
……そうして、ゆっくりと口付けされた。
****
悪魔の黒い肌がウィーネの頬をそっと撫でた。
「お前に金色や銀色の髪など似合わぬ」
「……だから、それは……」
「しかし、この白い衣装は悪く無いな」
「っていうか、何なのよ!こ・れ・は!!」
抵抗しようと手首に力を入れ、うんうんと唸っているウィーネからかぎ爪を離してやった。その代わり、寝台に足を投げだし座ったアシュマを跨がせる。自分の太腿の上にウィーネを大きく跨がらせるのは気分のいい物だ。
そうして上から下まで、愛らしいウィーネを眺めて、再び髪を撫でた。
「その衣装は『恋人の家に泊まるために着る天使のような可愛らしさの白い下着』という文句がついていたものだ。だが、お前が着ても到底天使なんぞには見えぬな」
「……な、何それ、どうせ似合わないわよ」
「似合わぬとは言っていない。天使などには見えぬと言っているのだ」
「言ってるじゃない!」
ウィーネはムッとしたまま、傍らにあった枕をアシュマと自分の間に置き、毛布をかき集めて置き、タオルケットをかき集めて置き、ふかふかの壁を作ると、ごそごそと太腿から降りようとした。
だが、当然それを許されるはずも無い。片方の蝙蝠羽がウィーネの背中を抱き寄せ、両の手が悪魔の腹の上に置かれた毛布やら枕やらを退けた。
勢いよく引っ張られて、ゴン、と悪魔の硬い胸板にウィーネの顔がぶつかる。逃れようと思い切り腕で突っぱねたが、そのままぐいぐいと羽で抱き寄せられてバランスを失った。
「もうううう!! 離して!こんな格好やだし!勉強するから!」
「その格好で勉強すればよかろう」
「こんな格好で出来る訳無いでしょう! それにどうせ似合わないんでしょ」
「似合わないとは言っていない。ただ金髪は似合わぬな」
そう。金色の髪などウィーネに似合うはずも無い。
悪魔も天使も姿形に騙される事は無い。美しいとか醜いとか、そういった人間的な感性は基準にならない。ゆえにウィーネの髪が白かろうが黒かろうが、金色だろうが銀色だろうが、アシュマには関係無い。
しかし、今、ウィーネの髪と瞳が闇の色であることは、アシュマの琴線のどこかを僅かに震わせる。ウィーネの黒に惹かれた訳では決して無いはずなのに、今ではこれで無ければならぬ。ウィーネの黒はアシュマの身体を彩る鋼の黒と同じだと、気付いてしまったからだ。
そしてウィーネの潤んだ瞳はアシュマの闇の魔力と同じ色。
「ウィーネ」
優しい声音にしたつもりもないのに、悪魔の声が低くなる。
戸惑うようなウィーネの黒い髪に指を通してやれば、強張った魔力が少しずつ解けていく。
白い下着は天使のようだと形容されているがくだらぬ比喩だ。あのような光の界の生き物に、この悪魔の召喚主が似ているはずが無い。天使などと人の子が呼ぶ、下らぬ生き物と比べ物にならぬくらい愛らしい。ウィーネが着れば白い衣装も白い肌に映え、黒い髪がその上にはらりと掛かる様子は、悪魔の心をくすぐるではないか。
さしあたり、この、黒い髪に通した指が欲するままに少女の身体を引き寄せる。
さて、今日はどうやってこの「天使」とやらを楽しもうか。思案しながら悪魔はもう片方の腕を少女の肩に回した。