獅子は獲物の食べ方の研究に余念が無いね、という話。
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もうすでにどちらも服は身に着けていない。
寝台の背もたれに背を預け、アルハザードはリューンの身体を自分の胸の上に片手で抱き寄せて、もう片方の手でやわやわともてあそんでいる。
筋肉質でリューンがどんなに暴れてもピクリともしない、その身体をやすやすと抱き寄せる鋼のような身体。その手遊びに身を任せていたリューンは、自分の身体に触れている腕を手に取って持ち上げた。アルハザードはされるままに、腕を上げる。
「どうした」
「筋肉が」
「何だ」
「なんか違うなあと」
「なぜ」
「私ももう少し鍛えておくんだった」
「お前はそれでいい」
「だって、ふわっふわだもん」
それを聞いて今度はアルハザードがリューンの腕を取った。筋肉のあまり付いていない、ふわふわとした柔らかい腕。華奢で、アルハザードの手が腕を掴むと折れてしまいそうで不安になる。その腕にアルハザードは唇を這わせる。舌を出してぬるりと舐め、柔らかな二の腕を甘く噛んだ。少し赤くなった噛み跡をもう一度ぺろりと舐めると、アルハザードは真顔で言ってのける。
「却下だな」
「え、どうして」
「硬いと食べ甲斐が無い」
「あのですねえ」
抗議のためにこっちを向こうとしたリューンを片腕で抱きとめたまま、アルハザードは体勢を変えた。今度はリューンが寝台に背を預けるような格好になり、アルハザードが少し横から彼女に被さる。
「ア、」
唐突な動きにむ……と顔をしかめ、名前を呼ぼうとしたリューンの口腔内にアルハザードの指が入ってきた。親指で顎をささえて人差し指と中指が口の中に入り込み、リューンを誘っている。
「……んくっ……ふっ」
リューンの舌がぺろりとそれに触れる。ごつごつとした太く大きく、節張った手を舐めると、その表面は剣を握っているからだろうか、ざらついていて硬い。リューンは歯を立てないように気を使いながら、その指を舐めているようだ。少し苦しげなその表情は、妙に艶かしい。
アルハザードはリューンの舌に指を触れさせ、舐めさせながら、自分はその身体に唇を這わせた。耳、首筋、鎖骨を嬲って柔らかな乳房をぺろりとひとつ舐める。
「……っく」
口に指が入っているからだろう。何事かを言いたいらしいリューンの息がアルハザードの愛撫を受けて荒くなると、くぐもったように喉が鳴る。それが思いのほか色を思わせてアルハザードを興奮させた。さらに攻め立てようと、自分の唇の下にある柔らかなふくらみを少し多い目に口に含み、歯を立てないようにはむりと噛む。口の中で徐々に硬くなっていく胸の頂を舌で転がしながら、その柔らかさを堪能する。
「……んんっ……ぁぅ」
リューンの口の端から唾液が零れ落ちる。両の腕は寝台のシーツを握り締めて震えていた。胸を刺激するたびに身体全体が跳ね、快楽に堪えている様子がアルハザードにも感じられて、それを探る深みに嵌っていく。胸をいつまでもいつまでもしつこく食み、舌で嬲っていたが、やがて片方の手を彼女の身体に這わせて下ろすと、足と足の間に滑らせた。当たり前のように、その間に指を2本いれる。
「……っ……!」
既に激しく濡れているそこは温かく、アルハザードの指にねっとりと絡みつき、やすやすと指を受け入れた。ゆっくりと動かすと甘い衝撃に反応したのだろう、少しアルハザードの指にリューンの歯が立った。アルハザードが思わず顔を上げると、「……ん……ぅ」と、ひどく可愛らしい呻き声を上げて、リューンが涙目でこちらを見つめ返してくる。別に痛くもなんとも無かったが、リューンの表情は申し訳なさそうだ。その愛らしい顔を見て、アルハザードは意地悪く笑った。
「歯を立てたな?」
「……ぁぅ……ぅぅ、ぅ……んー……ん(アル、口、指抜いて)」
「ん?」
「ぅぅ、ぅぁぁ……ぅんー……(指、口から抜いてー)」
「リューン、もっと動かして欲しいのか?」
「ぅぁ……、ぅーんぅぅぁん……、ぅんん……(いや、そうじゃなく、抜いて)」
「分かった。ここだろう」
「んんっ……ぅぁぁぁん……(……ちょ……と、○▽□×※☆◎)」
なんなんだこの可愛らしい獲物は。
獲物を見下ろす獅子に、非常にシンプルな欲望が沸き起こった。この獲物は、実に美味そうだ。
アルハザードは秘所に沈めている方の指を動かしながら、徐々に一番奥まで入れ込み、リューンの耳元でささやいた。
「ん、どうした?」
まるで、赤子をあやすような優しい声色だ。
「ぅー……ぅぅ、ぅぁん……ぅぅ(もう……この変態、指抜……)……んっ!」
リューンが何事かを訴えている途中で、アルハザードは指を曲げて彼女の弱い部分を引っかいた。その感覚にリューンの声が揺れて、それに誘われるようにアルハザードは息を荒くする。指を激しく出し入れしながら、リューンの秘所を手のひらで包み込み、膨らんだ敏感な箇所も刺激する。ぐちゃぐちゃと卑猥な音を響かせて、だんだん激しくなる手の動きに、リューンの息も乱れ始めた。
「んっ……ぁぅっ……んっん……(っと、アル、待って!)…………!」
いつのまにかアルハザードの肩を掴んでいたリューンの手が、ぎゅうと固くなる。やがてその身体に電気が走ったようにびくびくと跳ねて、かくんと寝台に沈みこんだ。アルハザードは、はあはあと息をするリューンの上と下、両方の口から指を抜いてやった。
「……ちょっと、アルッ!指抜いてって……!」
途端に抗議の声を上げ始めたリューンの口を今度は一旦唇で塞いで、直ぐに離す。
「ちゃんと、抜いただろうが」
「……や、ア……ル、」
何か言おうとしたリューンの声はすぐに遮られた。確かに指は抜かれた。だが、今度は別の……もっと大きくて熱いものが入ってきた衝撃に身体が再び揺らされる。
何度貫いても、ここに本当に自分が入ったのかと思うほどきついが、挿れた後の内壁は柔らかく愛液が纏わり付いて気持ちがいい。アルハザードはリューンと繋がった身体をゆっくりと動かし始めた。こうしてやるとどうだ。とろけるように自分を誘うくせに、離れるなと言わんばかりにきつく締め付けてくる。
「……っ、く……っ……、俺を食らうのはお前だな……、リューン」
「……なに、言って、も、う……っ」
身の内に感じるアルハザードの熱に、リューンの息が激しく上がる。その甘い身体を味わうように、アルハザードはリューンの身体を揺らしながら舌を寄せた。
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結論: 美味しくいただきました。