付録

[拍手小話①] がんばれ!ピウニー卿!

「ね、え……ピウニー、やっぱり……すごく……太くて……」

「くっ……おい、サティ……咥えるのはやめろっ……」

「……ぅん……」

「……待てっ……」

「どうしてこんなに……? ほら、私の口には入らないよ……」

「それは……お、お前が……」

「私が、何……?……ねえ、私、前までちゃんと咥えられてたよね……?」

「そうだな……」

「……ね、どうしてこんなに、……咥えられないくらいになったの?ピウニー……」

「そんな顔をするな……その、お前があまりにも……可愛くて……」

 

 

 

 

 

それは、サティが可愛くおねだりしすぎて、毎日ご飯が大漁だから。
ついついたくさん食べてしまうピウニー卿は、最近お腹周りがちょっぴりふとましい。
咄嗟のときに咥えて運ぶことができなくなったサティは、大層困っていた。

「ほらー、やっぱりお腹太くなってるじゃない」

「ネズミだからだ。人間に戻ったときは変わってないではないか!」

「ふうん?」

「そんな顔するな」

「別に」

サティは意地悪い半眼で、ピウニー卿の腹周りをぱくりと咥えるポーズをしてみせた。

「ほら全然口に入らなーい」

「なにっ、……もう一度やってみろ」

「いいわよ。……ん……」

サティはピウニー卿を咥えてみる。だが、あまり上手に咥えることはできず。すぐにぽとりと落とした。

「へ。変なところにさわっ……うぐっ」

ぽとりと落とした衝撃で、ピウニー卿が呻く。

「ほら。変なところには触ってないわよ、失礼ね。……ピウニーが太くて口に入らないのが悪いんだもん」

ふふーんとサティはシッポを揺らした。

「サティ、今の台詞をもう1回……」

「何の話よ」

「い、いや……」

さあ、みんなも声を合わせて!

がんばれ!ピウニー卿!!