「……く……、あまり、締めつけるな……サティ」
「ん……。ピウ……だって……」
「……サティ、こら……っ」
「だって、ピウ……あったかくて、気持ちいい……」
「……そ、それは……っ……」
「もっと入って……」
「……む……う、サティ……これ以上は……」
「……や……もっとこっち、来て……」
「……サティ、待て、もうっ……」
「……まだダメ……」
「しかしっ……」
「もう少し、奥……に……」
「ああ……サティ、もうこれ以上……限界だ」
「サティ、暑い! それに苦しいと言っておる!」
「んんー……?」
サティは寝ぼけた顔を前足で洗いながら身動ぎした。首元の毛皮の奥から小さな金色のネズミが、よいしょよいしょ……と顔を出す。
「……まったく、幾ら寝ぼけているからといって、こんなに締め上げられては身体がもたない」
「……うん……ピウ……どこー」
しかし、可愛らしい寝言を……。
ピウニー卿とサティは、獣の姿で眠るときは、こうして2人毛皮を寄せ合って眠っている。だが、サティはピウニー卿のふかふかの毛皮を堪能できないことが不満らしく、時折寝ぼけてピウニー卿の小さな身体を前足で囲んで、自分の首元から胸元にかけての毛皮にぎゅうぎゅうと仕舞い込むのだ。
温かくて心地よいが、度が過ぎると暑くて苦しい。それでも、サティと離れて眠るのは心許なく、どうしても身を寄せ合ってしまう。
「ピウ、……もっと……」
ピウニー卿がハッと顔を上げた。
「サティ、今の台詞を……」
そのとき、サティがもぞもぞと動きピウニー卿の身体を捜す。自分の首元まで這い上がってきていたピウニー卿を抱えなおすと、寝ぼけてその口元をペロリと舐めた。
「サティ……○×▽□※☆!!」
「……ぅぅん、ピウニー……もっと……」
ピウニー卿の手にしっとりと滑らかな肌が触れ、鍛えた胸に柔らかな膨らみが当たり、上半身にさらさらとセピア色の髪が流れる。寝ぼけてもぞもぞと動くサティを抱え、ピウニー卿は(いろいろ)硬直した。
朝まで(いろいろ)がんばれ……ピウニー卿……。